【髪の構造】

髪の毛は、大きく分けて3層構造になっています。一番外側の組織をキューティクル（毛小皮）、中間部をコルテックス（皮質）、中心部をメデュラ（髄質）といいます。

【キューティクル】
髪の表面にある半透明の薄い保護膜が4～10枚程重なって、うろこ状になっています。キューティクルは髪の内組織を守る働きをしており、濡れると柔らかくなる性質のため、ブラッシングなどでこすれたり、乾燥することで欠けたりはがれたりします。また毛先にいくほどキューティクルの枚数は少なくなっています。

【コルテックス】
コルテックスは髪全体の90％占めている組織で、水分を保持し、毛髪の強度やコシ、髪色、透明感や動きのあるツヤ感に影響します。この部分のタンパク質・脂質の構造や水分量が、髪の柔軟性や太さに影響します。また、メラニン色素は主にこの部分に含まれていて、その種類と量によって、髪の色が決まります。

【メデュラ】
髪の中心にある組織で、太い毛には存在していて、細い毛には存在しないことが多い組織です。

コルテックスは繊維状の束とそれを取り巻く構造でできており、これを詳しく見ると、らせん状のケラチンが束になって構成しています。ケラチンは髪の主成分で、隣り合ったケラチン線維同士を側鎖結合（ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合）が結びつけています。側鎖結合は外的刺激によって切れやすく、縦方向に裂ける枝毛ができやすいのです。

【髪が傷む原因】

髪のキューティクルやコルテックスへのダメージが髪を傷める原因になることがわかりました。
キューティクルやコルテックスが変性することでパサツキや枝毛・切れ毛になります。またケラチン同士をくっつけている側鎖結合は切れやすいので、さらに枝毛は縦にさけます。

髪を傷めせている影響としては以下のものが考えられます。
・カラー、パーマなど化学的な影響
・ブラッシングなどの機械的な影響
・紫外線やドライヤーの熱など物理化学的な影響

このような日常的に発生する摩耗や熱、化学的影響に気をつけながら髪をケアすることが重要です。

加齢に伴って、「ツヤがなくなった」という変化が出てくることがありますが、これは髪のうねりが原因と考えられます。年齢とともにうねり毛が増加し（図3-1）、それを反映してツヤが低下する（図3-2）という見た目になります。

髪の美しさは、皮膚の表面に出ている「毛幹」とよばれる部分の性質を反映しています。しかし毛幹はすでに死んだ細胞の集まりで、一度傷つけられると自ら修復することはできません。これが切れ毛や枝毛、うねりにつながります。
一方、毛根は皮膚の内側にあり、外部から害を受けることはありません。皮膚の表面に出てすぐの毛幹は健康な状態です。この状態をいかに維持するかで髪の美しさが変わってきます。