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皆さん何かしらのステロイドの入ったお薬を処方された・薬局で購入したご経験があるのではないでしょうか。
今回は頭皮にステロイドを使用することの是非についてお話しします。
ステロイドの使い方
当クリニックに頭皮のトラブルでご来院くださる患者様のなかにも、頭皮の炎症や痒み・出来物ができたなどで皮膚科にかかった際、ステロイドを処方され使用しているという方が多くいらっしゃいます。
即効性があり炎症などを直ぐに鎮めてくれるため、とても良いお薬である一方、使い方が難しいお薬でもあります。
ステロイド塗り薬の注意点
介護・美容業や飲食業など水仕事の多い職場に勤務されている方は手荒れした時に皮膚科でステロイド入りの塗り薬を処方されたご経験がある方もいると思います。
ステロイド入りの外用薬を使用するにあたっては、次のような注意が必要です。
1.慢性的に使用しない
塗ったらすぐに症状が治まるため、度々使いたくなりますが、長期間にわたって使用することにより皮膚が薄く弱くなります。
一時的な措置と考え常用せず、重症化した時にスポットで利用することが大切です。
2.中毒性がある
身近な例で言うと、市販の薬が効かないほど酷い花粉症を患う方は、一時的に症状を抑えるため医師に勧められ注射等の投薬でステロイドを使用する場合もあります。
ステロイドを使用すると、症状が治まり楽になるため、短いスパンで使用する癖がつくと、もっと短い間隔で注射を打ちたい、はやく楽になりたいと常に感じるようになり、依存してしまう傾向にあります。
副作用が全くない安全な薬であれば良いのですが、副作用というものはどんな薬にも少なからず存在するため、中毒性があるステロイドであれば尚のこと、短期間で集中的に治療するのみに留めるなど使いどころを良く考える必要があると思います。
ステロイドの副作用
長期間の使用をおすすめしない理由はやはり副作用です。
注射や内服薬で使用することは、外用薬で使用するよりもリスクの高いため、長期的に使用する必要がある場合は、特に気をつけなければなりません。
1. 感染症にかかりやすい
ステロイドの副作用で一番怖いことは、感染症にかかりやすくなることです。
注射や内服薬で長期間全身に使用するなどした場合には、健康な方であれば症状が出ないような病気にも罹患しやすく、また治りにくいこともわかっており、最悪死に至るケースもあります。
2. 合併症に注意が必要
内科でも様々な疾患の治療で使用されており、治療が難しい病気のため20~30年と長期にわたり少量のステロイドを使用し続けなければならないケースや、重い症状と診断された場合には、高用量を処方されることもあります。
少量であっても全身に作用する注射や内服薬を長い期間使用すると、生活習慣病と言われる高血圧、糖尿病、高脂血症などの合併症が出てきてしまう場合があります。
3.皮膚が弱くなる・肌トラブルが増える
今症状を抑えたいという場面ですぐ効果が出るので、症状が酷い時に応急処置的にステロイド使うことはおすすめできますが、先述のとおり外用薬を長期使用した場合にも副作用があります。
ステロイドの外用薬を長期的に使用し続けると肌に簡単に傷がつきやすく、出血しやすいなど、皮膚が薄く・弱くなることがわかっています。
治りきらぬままダラダラと中途半端に使用し続けると、逆にステロイドが皮膚トラブルを引き起こし、頭皮であれば薄毛の原因になることもありますので要注意です。
4.満月様顔貌(ムーンフェイス)
ステロイドを慢性的に使用した際の有名な副作用として「満月様顔貌(ムーンフェイス)」というものがあり、顔が満月のように丸く特徴的な顔付きになります。
頭皮のスキンケアがおすすめ
有名なお薬なので、気軽にステロイドを使用していたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
頭皮にトラブルが出た場合にも、軽い症状であればなるべくステロイドは使わないようにし、本当に症状が重い時のみの限定的な使用に留めることが大切です。
その代わり、普段から頭皮のスキンケアを頑張っていただくことをおすすめします。
アトピーなど体質・病気として症状出てしまう方もいらっしゃると思います。
それでも頭皮美容液などを使用し、基本はスキンケアでしっかり保湿することでトラブル予防になり、重症化する前にある程度症状が抑えられると考えられますので、日々のケアを是非頑張っていただきたいです。
まとめ
ステロイドは即効性があり炎症をすぐに抑えてくれるのでとっても効果的な治療ではありますが、慢性的に使用するとステロイド自体の影響で合併症や皮膚トラブルが増えるなど、頭皮であれば抜け毛の原因にもなりかねませんので要注意です。
塗り薬であれば局所的なものですが、飲み薬で全身に使ってしまうとどうしても副作用はついてきますし、重篤な副作用が起こる可能性もあるということを知っておく必要があります。
なるべく頻度を減らして、ここぞという時だけに使用を留めていただくことがおすすめです。
記事監修者
Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI YouTubeチャンネル
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