ステロイドに頼らない!アトピーを治せる時代に。
目次
ステロイドに頼らない!アトピーを治せる時代に。
アトピー性皮膚炎治せる時代をテーマに本日はお話していきたいと思います。
アトピーは全身の皮膚の病気ではあるのですが、もちろん頭皮にも症状が出ることがあり、乾燥してフケの原因にもなったり、悪化すると薄毛の原因になったりする可能性もあります。
そこで今回は題材として取り扱いさせていただきました。
アトピーは治せる時代に!とタイトルでも書きましたが、今日のキーワードは「ぺリオスチン」という言葉です。
アトピー性皮膚炎に関する最新の論文が発表された
先日セルリポーツという有名な雑誌で発表されたぺリオスチンにまつわる論文を中心に今回は紹介させていただきます。
佐賀大学医学部の出原先生の研究室から発表された論文で、ぺリオスチンを攻略することでアトピー性皮膚炎の治療が見えてくると記載されています。アトピー性皮膚炎でお悩みの方には期待できるお話かなと思いますのでぜひ最後までご確認ください。
アトピー性皮膚炎とはそもそもかゆみを伴う湿疹のことで、良くなったり悪くなったりというのを慢性的に繰り返すような皮膚の病気です。アレルギーの一種になります。
痒みを伴うため皮膚をやっぱり掻きむしってしまってそれによってさらに皮膚がボロボロになり、状態が悪化して皮膚のバリア機能が崩壊してしまい、そういう場所で炎症反応が引き起こされ、また痒くなってという悪循環に陥ってしまいます。
通常、虫刺されだけでも我慢できずに掻いてしまうことがあると思うのですが、そういう痒みが常にアトピーの方はあるって思うと本当につらいと思います。
アトピー性皮膚炎に対する治療法
基本はアトピー性皮膚炎の基本的な治療は保湿によるスキンケアです。
症状が強い場合にはステロイドなどの免疫抑制剤を使用することが一般的な治療法です。その為、根本から治すというよりも皮膚で起きている炎症をステロイドなどで抑えてあげて症状を和らげるようなイメージです。
ただ皆さんもご存知だと思いますがステロイドは副作用もいろいろありますのでなるべく長期的な使用は避けたいと思いますし、本来はそもそもの現況になっているかゆみを抑えてあげるような根本的な治療が望ましいと思います。
聞きなれない言葉かなと思うんですけどペリオスチンを一言で言うとアトピー性皮膚炎の原因になるような物質のことを指しています。
ペリオスチンがアトピー性皮膚炎の病態に深く関わっており、アトピーが発症する仕組み事実に関しては先ほどご紹介した佐賀大学の出原先生らは10年前から言っていたようなことです。
今回の論文ではそのペリオスチンが実際にアトピーの炎症を引き起こすような直接的な原因になっており、かゆみの原因になっているということを明らかにしてくれた論文になっています。
論文詳細
こちらがその論文の詳細なのですが、この赤いつぶつぶがピリオスチンの物質です。このペリオスチンというのは皮膚の表皮を形成しているケラチノサイトという細胞の表面に発現しているインテグリンという物質に結合してNF-KBを活性化します。
そうすると細胞内でシグナル伝達って言っていろんな反応が起こきます。
その結果炎症性メディエーターというのを誘導して皮膚の炎症を起こします。
という流れですね
炎症性メディエーターというのはヒスタミンと呼ばれる炎症を引き起こすような物質の総称です。これが一つの経路です。
さらにもう一つの経路としては脊髄にある感覚神経、細胞に発現している同じインテグリンがいます。これにペリオスチンがまた結合すると脊髄を介して今度はかゆいという信号が脳に伝達されます。
その結果かゆみを感じて皮膚をかきむしってしまうという流れになります。
この全体像を今回の論文では明らかにしたということです。
このペリオスチンという物質がアトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では普通の人よりもたくさん発言しているっていう事になりますので湿疹とか痒みの症状が出てしまうというわけです。ちょっと難しい話でしたが、こういったメカニズムをマウス実験で明らかにしたという論文になります。
このペリオスチンをどうにかすればアトピーは治る可能性があるということです。
治療の可能性まで今回の論文では実験されていてここがすごく期待できるところだと思っています。またこの論文ではペリオスチン阻害薬の効果についても言及されており出原先生たちの研究チームではfadsと呼ばれるアトピー性皮膚炎のモデルマウスが使われています。このマウスを健康なマウスと比較しています。
顔に限局してアトピーのような湿疹の症状が出てくるようになっています。
このマウスに対してCP4715というぺリオスチンがインテグリンに結合するのを阻害するようなお薬を投与した実験を行っています。
結果がこちらの上の図のようにいろんな評価項目が軒並み改善しているというようなデータになります。分かりやすいところだと例えばこちらのBの結果です。マウスの顔にできた湿疹を評価しています。
こちらがお薬を投与していないマウスでこちらがCP4715というお薬を投与したマウスです。お顔の湿疹を見てみると治療してから約15日後で比べてみますとお薬を投与した群が投与してないマウスに比べて湿疹の状態がすごく良くなっている改善しているということがわかります。
こちらのグラフではアトピーのマウスだと顔の湿疹を描くような動作ひっかきコードと呼んでいますけどこれが観察されていますが、この白い丸がお薬を投与していないマウス黒い丸が投与したマウスの結果になるのですが縦軸でひっかきコードの回数を示しています。
お薬を投与する前投与した後で比較していますがCP4715を投与することによって薬の投与前はひっかき行動が見られたのに対して薬を投与した後はひっかき行動の回数が明らかに減少しているという結果も得られています。
これに関しては動画でも見ていただきたいと思いますので是非YouTubeをチェックしてみて下さい。
CP4715を登場した後のマウスを見てもらうと全然そのカリカリカリって引っかく行動がなくなっているのが分かります。これ映像で見ると結構劇的に改善しているというのが分かるかと思います。
今回のこの出原先生の研究内容は全国ニュースにもなっていてご存知の方もいるかと思うのですが非常に画期的で今後のアトピーの治療法の開発に向けて期待できるような研究内容ではないかと思います。
まだまだ効果と副作用に関しての人間に対しての知見を繰り返し出す必要があるので時間はかかってくるかと思いますがぜひアトピーの治療薬として実用化してもらえればいいなと思います。
まとめ
アトピー性皮膚炎の原因にはペリオスチンという物質が関与しています。
ペリオスチンを阻害する薬剤がアトピーの有効な治療薬になる可能性があります。
記事監修者
Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
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