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女性の薄毛『FAGA 』とは?東大卒医師が徹底解説

2023.05.19
女性の薄毛『FAGA 』とは?東大卒医師が徹底解説

目次

    女性の薄毛『FAGA 』とは?東大卒医師が徹底解説

    今回はFAGAについてお話ししていきたいと思います。

    FAGAとは?

    FAGAは男性の薄毛疾患である男性型脱毛症AGAに女性という意味のFemaleをくっつけたものでFemale Androgenetic Alopeciaの略です。

    日本語では女性男性型脱毛症という風に呼ばれています。

    もともとAGAは男性特有の病気という風に考えられていたんですが女性でも見られるということがわかってきてFAGAと呼ばれるようになりました。

    頭頂部を中心に広い範囲で全体的に毛髪が薄くなるパターンが多く、生え際が後退する症状の進行は少ないと言われています。

    この分け目に沿って地肌が目立つようになってきたと訴える方が多いような印象です。基本的にはAGAと同じで男性ホルモンが原因でヘアサイクルが乱れてしまうことによる薄毛と言われています。

    ただ男性ホルモンが強く作用する原因としては男性では遺伝の影響がほとんどだと言われていますが、女性の場合は加齢やストレスや生活習慣の乱れなど様々な原因が複合的に関与して男性ホルモンが相対的に女性ホルモンより多くなることでヘアサイクルが短くなってしまうと考えられています。

    一般的には更年期の女性が多く発症するのですが、睡眠不足や過度なストレスによってもホルモンバランスで乱れてしまいますので20代、30代の女性でももちろん起こり得るような病気です。

    FPHLについて

    FPHLという言葉も聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
    Female Pattern Hair Lossの略で日本語では女性型脱毛症と言います。
    FAGAとほぼ同義で使われることもありますが、最近ではFAGAを含めた女性の薄毛疾患全体のことを指してFPHLと呼ばれることが多くなってきています。

    これは女性の薄毛がFAGAなのか、それ以外の病気なのかということを判断するのが難しく、FAGA以外にも円形脱毛症とか権威性脱毛症と呼ばれるものや急激なダイエットが原因のものや何らかの全身性疾患に伴う薄毛など薄毛の原因として考えるものをあげるとキリがないぐらい薄毛の疾患が知られているのでそれらをみんなひっくるめてFPHLという概念が浸透しつつあります。

    男性のAGAだと治療方法はある程度確立されていますがFAGAの治療はまず選択肢が限られており、AGAほど定まった治療方法がないというのが現状になります。

    FPHL・FAGAの具体的な治療法

    現段階で一般的に行われているような治療をいくつかご紹介はさせていただきます。
    まず男性のAGAの治療でも使用されているフィナステリドデュタステリドというお薬がありますが、こちらは抜け毛を抑制するようなお薬です。
    ただこれは女性だと効果がないということがすでに分かっています。

    ちょっと古いエビデンスにはなりますが2000年に発表されたデータで、女性型の脱毛症の症例137例に対してランダム化比較試験を行ったものになります。

    お薬使用して1年後の単位面積あたりの硬毛数を調べたデータになりますが、フィナステリドを使用した群とプラセボ群を比べるとどちらも硬毛数は減少しており、効果に有意差は認められなかったという結果が出ています。

    その為、この結果を受けて女性はフィナステリド、デュタステリドは基本的には使用しません。

    また2017年の診療ガイドラインでは推奨度Dランクとなり行うべきではないということになっています。さらに男性ホルモンに作用するようなお薬になるため、妊娠中や授乳中の方はお子様の発育に影響を及ぼす可能性があるので禁忌、使ってはいけないことになっています。

    一方で発毛効果のあるミノキシジルについては女性でも有効性が示されています。
    まず外用薬は男性と同様にガイドラインでは推奨がAランク。行うことを強く勧めるということになっていて女性の場合推奨濃度は1%になります。

    薬局でも購入可能です。外用薬に関してはクリニックによっては1%じゃなくて5%とか15%とかもっと濃度が高いものを扱っているところもあります。濃度を上げることで効果が高くなるというような報告も散見されますので検討してみてもいいかもしれません。

    またミノキシジルの内服薬もFAGAに効果が期待できます。内服薬に関しては現時点で数人から数十人規模の臨床試験しか行われていないので効果と安全性が十分に検証されていないっていう点でガイドライン上の推奨度Dランクになっていますが実際に薄毛のクリニックでは外用薬と合わせて処方されることも多くて効果も出ている方が多いです。

    普段診療している感覚でも効果はありますし、副作用がひどくてやめてしまうっていう方も今のところはいないので安全性もある程度高いと思っていますが、一応副作用がもともと重症高血圧症の治療薬だったこともあって血圧の低下やめまいむくみという副作用は一応知られてはいるのでそのあたりは気をつけたいところです。

    ミノキシジルの副作用:多毛症

    また女性の場合気になるのが多毛症です。
    ミノキシジルは髪の毛以外の全身の毛根に作用をしてきます。そのため、例えば顔の産毛が生えてきちゃったり、せっかく脱毛していたのに体毛が濃くなってきちゃったりという方も中にはいらっしゃいます。

    スピロノラクトン

    内服薬としてスピロノラクトンというお薬もあります。
    こちらはもともとミノキシジルと同じで高血圧症の治療薬ではありますが、利尿作用があるお薬のため、ミノキシジルとは逆にむくみを抑えてくれる効果があります。
    そのため、ミノキシジルを飲んでいてむくみの副作用が出てきてしまったという方にも使いやすいお薬になっています。男性ホルモンであるアンドロゲン受容体の活性を抑えて抜け毛の抑制が期待できるっていうお薬です。

    また、それ以外にはサプリメントを組み合わせて処方されることも多いです。
    有名なのがパントガールです。育毛にいいと言われるビタミンなどそういう成分をたくさん入れてあるサプリメントです。海外で販売されているお薬ですが日本のクリニックでも扱っているところが多いです。

    FPHL・FAGAに対する薬以外の対策

    内服薬以外だと頭皮に直接薬剤を注射するメソセラピー手法があります。
    注射の中身はクリニックによって様々でミノキシジルやグロースファクター(成長因子)や幹細胞培養上清液などが入っています。

    またPRP療法(多血小板血症療法)も最近話題になっています。
    PRP療法というのは自分の血液を利用したような再生治療の一種になります。こちらは私たちも注目している治療法のため、また改めて詳しく記事で解説していきたいと思います。

    FPHL・FAGA治療法のまとめ

    ミノキシジルの外用薬と内服薬を組み合わせるような治療法が一般的でクリニックによってはサプリメントやスピロノラクトンというお薬も合わせて使われることがあります。さらに効果を高めたい場合にはメソセラピーを定期的に行っていくようなイメージです。どの治療も男性に比べると効果が出てくるのにちょっと時間がかかってくるのが女性の特徴なのでじっくり腰を据えて長期的に治療を行っていくっていうような気持ちでいていただけるといいかなと思います。
    治療期間は半年ぐらいは様子を見ていただければと思いますがいずれにしても早く治療を始めていただくことで治療効果が出やすいとは言われていますのでちょっとでも気になったらぜひ早めにクリニックに相談に行かれることをおすすめはいたします。

    まとめ

    FAGAは様々な要因が影響して男性ホルモンが強く作用して発症する女性の薄毛疾患です。男性のAGAに比べると治療の選択肢は少ないですがミノキシジルやメソセラピーを行うことで治療効果は期待できます。

     

    記事監修者

    勇 亜衣子
    一般社団法人Next Beauty Labo 代表理事
    Dr. TOUHIクリニック 総括院長

    勇 亜衣子

    いさみ あいこ
    【経歴】

    東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
    脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr. TOUHI AGAクリニック」「Dr. TOUHI ヘアメディカルサロン」開院

    Dr. TOUHI YouTubeチャンネル

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