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女性の薄毛に効果はある?フィナステリドの「落とし穴」【FAGA】

2023.08.18
女性の薄毛に効果はある?フィナステリドの「落とし穴」【FAGA】

目次

    FAGAとは

    女性の薄毛疾患は、男性型脱毛症のAGAに女性という意味のfemale(フィメール)をつけてFAGAと呼びます。
    現状で確立された治療法はなく、ミノキシジル(外用薬・内服薬)で治療されるケースが多いのですが、
    今回は男性の薄毛AGAの治療薬で推奨されているフィナステリドが女性にも効果があるのか?安全に使えるのかについてお話しします。

    フィナステリドの特長

    人間の体内に存在する還元酵素の一種である5α‐還元酵素は、
    男性ホルモンのテストステロンと結合することでより強力な男性ホルモンのジヒドロテストステロンへと変化し、抜け毛を増やす働きをします。
    フィナステリドは、酵素の働きを阻害し頭皮において男性ホルモンによる脱毛を抑制します。

    フィナステリド服用男女別推奨ランク

    男性のAGAの治療に対しては効果と安全性がしっかりと認められております。
    診療ガイドライン2017年版でも男性のAGAに対する服用推奨度の最も高いAランクに位置付けられており、AGAと診断されたら原則必ず内服していただく治療薬になります。
    しかし女性の薄毛FAGAに対してはガイドライン上、現状は行うべきではないというDランクに位置付けされています。

    男性では一番効果的とされるAランクですが、女性にはDランクと推奨されない治療となった原因をガイドラインに沿ってお話します。
    2000年に発表されたフィナステリドは女性には効果がないというデータが根拠になっています。
    FAGA症例の137例に対し、フィナステリドを使用した症例とプラセボを使用した症例で比較した研究において、フィナステリドを使用した症例・プラセボを使用した症例どちらも毛髪数が減少し、効果に優位な差はないという結果でした。
    少し古いデータですが、その後もFAGAに対するフィナステリドの有効性に関する研究が複数行われており、男性ホルモンの働きを抑える効果のあるフィナステリドが女性の薄毛FAGAにどのようなメカニズムで効果を示すかということについてまだ解明されていないのです。

    以前掲載いたしましたコラムでもお話させていただきましたが、
    女性のFAGAはホルモンの関与より複合的な原因で発症すると考えられております。
    フィナステリドで毛髪の太さ・密度が改善したという報告もありますので、まだ女性に対する有効性の有無に関しては断定できない状況です。
    【関連記事】
    【FAGA】女性の薄毛改善できます!専門医が語る解決法

    フィナステリドの女性に対する安全性

    Dランクとなっている理由は複数あり、こちらは特に注意が必要です。
    先述のとおり、フィナステリドは男性ホルモンを抑えるお薬です。
    妊娠中や授乳中の方の使用はお子さんの発育に影響を及ぼす可能性があるため禁忌となっています。
    皮膚からも吸収されると言われており、パートナーの方・ご家族が内服されている場合、女性が治療薬に直接触れることがないよう注意しましょう。

    上記の理由から基本的に妊娠可能年齢の女性への処方は致しませんが、
    有効性があるという報告もあるため胎児の奇形を起こしてしまうなどの可能性をよくご理解いただいた上で、限定的に使用するというケースも増えています。
    ミノキシジルだけでは十分な効果が得られない、治療を強く希望される妊娠予定のない女性患者様・閉経後の更年期の女性へ処方し、実際に効果が得られたという症例もあります。

    フィナステリドの外用薬

    ミノキシジルの外用薬は以前からありましたが、フィナステリドの外用薬も最近注目されています。
    男性はもちろん女性でもミノキシジルの外用薬とフィナステリドの外用薬を併用することでミノキシジル外用薬を単独で使用するよりも効果が高いことがわかってきました。
    外用薬は内服薬に比べて投与箇所のみに作用するため全身に効果が及びにくく効果はゆるやかで重い副作用が起こりにくいのが特徴です。
    そのため妊娠可能女性への処方も期待されていますが、問題なく投与できるかどうかについてはもう少し議論が必要です。

    デュタステリドの効果

    デュタステリドは5α‐還元酵素阻害剤の新たな選択肢でフィナステリドより効果が優れるとして承認されたお薬です。
    男性のAGA治療では効果が確立されていますが、比較的新しいお薬ということもありFAGAについてはデータがかなり少ない状態で効果・安全性ともに断定できるだけのデータがないのが現状です。
    現時点での報告は一例で少数の奨励研究などでは効果があったと報告されているものの、実臨床での使用は慎重にならざるを得ない状況です。
    デュタステリドもフィナステリドと同様に皮膚からも吸収されると言われており、胎児への影響もありますのでパートナーの方・ご家族が内服されている場合、女性が治療薬に直接触れることがないよう注意しましょう。

    デュタステリドの安全性

    フィナステリド・デュタステリドの副作用については、男性・女性ともに共通して肝機能障害と性欲低下といった副作用がよく知られています。
    これまでFAGAにこれらのお薬を使用した研究で使用を中断しなければならないほどの重大な副作用は報告されておりませんので、基本的には安全に使っていただけるものであると思います。

    今回のまとめ

    ① フィナステリドの男性ホルモンを抑える作用は、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
    ② 閉経後の女性でミノキシジルを使用してもあまり効果が出ない方などには限定的に処方して効果が得られる場合もあります。

    記事監修者

    勇 亜衣子
    一般社団法人Next Beauty Labo 代表理事
    Dr.TOUHI CLINIC 総括院長

    勇 亜衣子

    いさみ あいこ
    【経歴】

    東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
    脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院

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