【AGA】サイトカインとAGAの関係について【薄毛】【発毛治療】

目次
どの分野の医師を目指すとしても、専門性が分れる前の基礎医学のような分野で必ずでてくる「サイトカイン」という言葉。
医学の世界で頻繁に登場するため、医学部生や医療従事者にとっては馴染み深い言葉ですが、一般の方々にとってはまだ馴染みが薄いかもしれません。
今回は、サイトカインが髪の毛の健康にどのように関わっているのか、最新の再生医療との関連性も含めて解説します。
サイトカインの特徴
サイトカインは医学の基礎分野で頻出する重要な概念のひとつで、内科、外科、眼科など様々な専門分野のもとにある基礎医学において中心的な役割を果たしています。
免疫系や炎症反応など、体のあらゆる機能に関わる基礎的な物質で、細胞間のコミュニケーションを助けるタンパク質です。
臨床医学においても、多くの疾患にサイトカインが関与していることから、医療従事者には馴染み深いものです。
サイトカインの種類
サイトカインには二面性があり、病気の原因となる可能性がある「悪いサイトカイン」と、治癒を促進する「良いサイトカイン」が存在します。
炎症性サイトカイン(悪いサイトカイン)
頭皮に関して言いますと、炎症性サイトカイン(悪いサイトカイン)は抜け毛にも関与します。
NFκB(エヌエフカッパーベータ)という経路を介して、髪の毛の正常な成長を阻害することも判明しており、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)では、これらの炎症性サイトカインの過剰発現が見られます。
アナフィラキシーショック
炎症性サイトカインが引き起こす問題は脱毛だけではありません。
炎症性サイトカインが過剰に分泌されるサイトカインストーム(サイトカインの過剰放出)により引き起こされるものには、アナフィラキシーショックなどがあります。
甲殻類にアレルギーを持つ方、蜂に刺されたことがある方はご存じかもしれませんが、アナフィラキシーショックは全身に炎症、呼吸困難、顔面の腫れなどの命に関わる重篤な症状を引き起こす可能性があります。
良いサイトカイン
最新の再生医療では、良いサイトカインを活用した治療法が注目されています。
発毛分野では、良いサイトカインは、成長因子の分泌を促し、髪の毛の成長期を延長させる効果があることがわかっています。
毛根細胞に直接作用して、毛髪のサイクルを最適化し、成長を促進します。
成長因子とサイトカイン
自己治癒力を高め、組織の再生を促進する治療が注目を集めています。
エクソソーム療法やPRP療法などがその代表例です。
エクソソーム療法やPRP(多血小板血漿)療法は、成長因子やサイトカインを豊富に含む治療法として知られています。
エクソソームには幹細胞由来の成分、PRPには自分の血液から抽出した血小板の成分が含まれており、いずれも良質なサイトカインの働きによって効果を発揮します。
特にACRS療法は、血液から良質なサイトカインのみを抽出・濃縮する治療法で、髪の毛の治療において高い効果が期待されています。
サイトカイン療法の種類
神経内科の領域においても、サイトカイン療法は新たな治療アプローチとして注目されています。
神経組織は一度損傷すると自然回復が難しいとされてきましたが、サイトカイン療法により脳梗塞や脊髄損傷などの治療において、新たな可能性が開かれています。
特定のサイトカインが神経細胞の再生や修復を促進する可能性があることが分かってきたため、発毛分野に限らず様々な領域でサイトカイン活用の研究がすすめられています。
まとめ
髪の毛の治療に限らず、サイトカイン療法によって再生医療全般で新たな治療の可能性が開かれつつあります。
研究が進むことで、より効果的な発毛治療や、従来は治療が困難とされてきた病気の治療方法がみつかるなど、今後さらに発展が期待される分野です。
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
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