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白髪の悩みは年齢を重ねるごとに深刻化し、50歳を超えると約半数の方は、髪の半分以上を白髪が占めていると言われています。
最近では30代でも白髪に悩んでいるという方が増加しており、正しい知識と対策方法を知ることが重要になっています。
「どうして白髪は増えるの?」「ストレスが原因?」「効果的な対策はある?」など、多くの方が持っている疑問に、毛髪専門医の監修のもと白髪が「黒髪に戻る可能性」について、白髪のメカニズムから科学的根拠に基づいた対策法まで、包括的に解説します。
正しい知識とケアで、未来の髪が変わります。
白髪になる人が多い年齢層
50代になると50%の人は、毛髪のおよそ50%が加齢により白髪になる【50の法則】という医学的統計があります。
実際にクリニックのデータでも、40代で部分的な白髪、50代で全体の半分、60代以降でほぼ全体が白髪になる傾向が確認されています。
白髪になるメカニズム
白髪が生まれるメカニズムには、色素細胞の働きが関わっています。
毛根には毛母細胞という細胞があり、その近くにはメラノサイトと呼ばれる髪の色素を作り出す「工場」のような役割を担う場所があり、白髪の発生を理解するには、髪の色が決まる仕組みを知る必要があります。
メラノサイトで生成されるメラニン色素の種類
1. ユーメラニン: 黒っぽい色の色素(日本人の黒髪の主成分)
2. フェオメラニン: 黄色や赤系の色素
この2つの色素のバランスによって髪色が決定され、メラノサイトが正常に機能している限り、健康な黒髪が維持されます。
髪が成長する際に、メラニン色素が髪の内部に取り込まれることで着色されるため、色のない白髪が生えるという事は、メラノサイトの機能低下により色素が生成されなくなっていることを意味しているのです。
メラニン細胞が弱くなる原因 ①加齢
白髪の原因としてはまず、加齢による細胞の老化が挙げられます。
頭皮の老化により、毛根のメラニン細胞が数を減らす・機能が低下することは避けられず、年齢とともに白髪が増えることも抗えない生理現象です。
しかし、お顔の肌が綺麗な方は頭皮も健康で白髪が少ない傾向にあり、これは毛の細胞やメラニン細胞の若々しさが関係していることを示しています。
お顔同様に頭皮が乾燥しないよう保湿しお手入れをすること、マッサージを日課とすること、頭皮の老化を招く白髪染めやカラーをなるべく避ける・頻度を減らすことなど、老化が早まってしまわないよう、生活の中でできることはたくさんあります。
白髪染めやカラーは特に、白髪を隠すため頻繁にやってしまいがちですが、それが白髪を増やす悪循環となりますので、特に注意が必要です。
メラニン細胞が弱くなる原因 ②ストレス
白髪も遺伝が原因ではないかと思われがちで、確かに両親や祖父母に白髪が多い「白髪家系」の場合、遺伝的に白髪になりやすい体質を受け継いでいる可能性はありますが、もっと大きい原因としてはストレスが挙げられます。
ストレスはアドレナリンなどのホルモンを分泌させ、メラニン細胞の機能を直接的に阻害するなど、白髪増加の原因として医学的にも証明されています。
マウス実験でも、ストレスを与えることで一気に白髪が増加し、逆にストレスが軽減されると黒髪に戻る現象が確認されるなど、ストレスで白髪になるメカニズムが解明されているのです。
▼ストレスと白髪の関係ついて詳しくお知りになりたい方はこちらもご覧ください
メラニン細胞が弱くなる原因 ③生活習慣
生活習慣の乱れも髪の健康を損なうことがわかっており、白髪の大きな原因の一つです。
髪の健康を損なう生活習慣
• 睡眠不足: 細胞の修復・再生機能が低下
• 栄養不足: 髪の成長に必要な栄養素が不足
• 無理なダイエット: 急激な栄養制限により毛髪に栄養が届かない
睡眠不足や食事の偏り、無理なダイエットも、髪に必要な栄養分が届かなくなり、抜け毛や白髪が増える原因となりますので要注意です。
改善できる白髪とできない白髪
一度白髪になってしまうと二度と黒髪に戻らないのかというと、そういうわけではなく、メラノサイトが完全に死滅していない「機能低下」の段階であれば、段階に応じて改善の可能性があります。
■改善する可能性がある白髪の特徴
• 黄色っぽく光っている白髪(初期段階)
• 30代40代で出始めた白髪
• 完全に真っ白ではない白髪
■改善が困難な白髪
• 真っ白な綿のような白髪
• メラノサイトが完全に機能停止した状態
メラニン細胞が完全に死んでいるもの、機能が失われているものに関しては、回復が難しいですが、弱って力を発揮できないだけの状態であれば、細胞を活性化させることで色素生成を回復できる可能性があるものもありますので、諦めず専門医に相談することをおすすめします。
【白髪改善】生活習慣
白髪にいい食事や生活習慣の見直し、日々の頭皮ケアを継続するなど、白髪改善のために自宅で今日からすぐにでも始められることはたくさんあります。
■白髪予防に効果的な栄養素
髪の主成分となる必須栄養素:タンパク質
• 推奨食材:魚類、肉類、卵、大豆製品
メラニン色素の直接的な原料:チロシン
• 推奨食材:チーズ、大豆製品、アーモンド
メラノサイトの働きをサポート:ミネラル(亜鉛・銅・ヨード)
• 推奨食材:牡蠣、ナッツ類、海藻類
この辺の食材を意識して取っていただくのがいいと言われています。
■質の高い睡眠による細胞修復
• 7-8時間の睡眠時間を確保
• 就寝前のブルーライトを避ける。
• 規則正しい睡眠リズムを維持
成長ホルモンの分泌により、メラノサイトを含む毛根の細胞が修復・再生されるため、睡眠は白髪の回復に不可欠な要素です。
【白髪改善】頭皮ケア
白髪を改善するためには頭皮の保湿・マッサージも効果的です。
■頭皮の保湿ケア
• 頭皮専用美容液での毎日の保湿
• 顔のスキンケアと同様のアンチエイジングアプローチ
• ドライヤーで乾燥する頭皮を保湿し守る
• 白髪染めやカラーの前後に頭皮を保湿すると効果的
■毎日の頭皮マッサージ
• 1分程度の簡単なセルフマッサージでも継続的な効果
• 血行促進により頭皮に栄養が行き渡り、メラノサイトが活性化
クリニックの患者データでは、毎日のマッサージを3ヶ月継続した方の80%以上で頭皮の血行改善が確認されています。
【白髪改善】白髪染め
■白髪染めの見直し・部分染めの活用
• 全体染めは3ヶ月〜半年に1回に制限
• 気になる部分(顔周り・分け目)のみ月1回程度
• 見えない部分は染める必要なし
加齢の項目でも少し触れましたが、白髪染めの頻度が高すぎると、かえって白髪を増加させる原因となります。
化学染料による頭皮への負担が、メラノサイトの機能をさらに低下させ、白髪の進行を加速させるためです。
白髪を気にするあまり、最初は2ヶ月に1回だった白髪染めを、1ヶ月に1回~最終的には2週間に1回へと頻度を増やすにつれ、白髪の範囲が拡大する悪循環に陥ります。
部分染めを活用する、染める前に頭皮用美容液で保護する、乾燥した頭皮への直接塗布を避けるなど、頭皮保護の徹底することで頭皮へのダメージを減らせます。
まとめ
白髪の原因は複合的で、加齢、ストレス、遺伝、生活習慣、ヘアケア方法など多岐にわたります。
メラノサイトの機能回復や頭皮環境の改善には時間を要し、持続的なアプローチで細胞レベルでの変化をもたらす必要があることから、白髪対策は短期間で劇的な変化が期待できるものはありません。
しかし、科学的根拠に基づいた適切な対策を継続することで、白髪の進行を遅らせ、場合によっては改善させることも可能です。
白髪改善には継続的なケアが必要なのです。
■専門医が推奨する効果的な白髪対策
・栄養バランスの最適化・質の高い睡眠の確保・ストレス管理などの生活習慣の改善
・毎日の頭皮マッサージ・適切な保湿ケアなど日々の頭皮ケアの実践
・頭皮の保湿・保護を徹底
■今すぐ始められる3つのアクション
・毎日の頭皮マッサージを習慣化
・白髪に良い食材を意識した食事
・白髪染めの頻度の見直し・部分染めの活用
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
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わたしたちはYoutubeを通して、医学的エビデンスに基づいた髪・頭皮に対する正しい情報を発進しています。
頭皮のベテラン経験則を持つ元美容師と、東大卒の医師が皆さんの髪の悩みを解決します。