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髪の専門医が白髪の真実を徹底解説します

2023.11.13
髪の専門医が白髪の真実を徹底解説します

目次

    「一夜にして白髪になるのは本当か」についてお話していきます。
    有名な話ですが、マリーアントワネットが首を切って処刑される前日に一晩で白髪になってしまったという話は有名かと思います。
    マリーアントワネットのお話に基づいて、ストレスの影響で髪の毛が急速に白髪になっていう現象を「マリーアントワネット症候群」とも呼ばれております。

    加齢による白髪

    髪の毛の色は、毛包のバルジ領域にあるメラノサイト幹細胞から分化したメラノサイトが髪の毛の色の元になってくると言われております。
    加齢による白髪の増加のメカニズムについては下記の通りです。

    ■加齢による白髪のメカニズム
    1.メラノサイト幹細胞が年齢とともに減少
    2.全ての毛包で色素が失われる
    3.白髪が発生

    ストレスによる白髪のメカニズムの研究

    ストレスが原因で白髪になってしまう場合のメカニズムですが、2020年にネーチャーという有名な雑誌に報告された白髪の研究結果をご紹介します。
    この研究で、ストレスによる白髪のメカニズムについて解明された論文となります。

    【実験1】

    マウス実験

    ストレス負荷を与えたマウスの毛がどのように変化するかを表した図となります。
    3パターンの方法でストレスを与える実験となります。

    【ストレスパターン】
    ・痛みのストレス
    ・拘束によるストレス
    ・心理的ストレス

    【結果1】

    マウス実験結果

    左側:ストレスを与えていないマウス
    右側:ストレスを与えたマウス

    結果は一目瞭然となりました。
    ストレス負荷を与えたマウスについては、白髪が出てきております。
    この結果から、ストレスにより白髪となることの確認が取れました。

    一般的にストレスによる白髪は、ホルモンや自己免疫反応が関与していると考えられております。
    そこで、下記の実験を行いました。

    【実験2】
    ホルモンのシグナル伝達や免疫反応を抑制したマウスにストレスを与える実験

    【結果2】
    白髪が発生した。
    この結果から、ホルモンや自己免疫反応はメラノサイト幹細胞の減少を引き起こすわけではないと結論づけています。
    今まではホルモンや自己免疫反応が白髪に関係があるように考えられておりましたが、
    今回のマウスの実験を通して、直接は関係がないと考えられる結果となっています。

    一方でメラノサイト幹細胞に、ノルアドレナリンに反応する受容体が発現していることが同じ実験でわかりました。
    ※ノルアドレナリンとは、興奮した時に分泌されるホルモンのことを指します。

    【実験3】
    メラノサイト幹細胞はノルアドレナリンに反応するような受容体を持っております。
    この受容体を無くしたようなマウスを作り、ストレス負荷を与えた。

    実験内容の図

    【結果3】
    白髪にならなかった。
    この結果によって、ノルアドレナリンがストレスによる白髪に関係している可能性があると考えられるようになりました。

    ノルアドレナリンは、交感神経が活性化されると交感神経から大量に放出される物質です。
    この働きを利用して実験を行いました。

    【実験4】

    実験内容の図

    ・交感神経からのノルアドレナリンの放出を遮断しストレス負荷を与えた
    →白髪は予防できた

    【実験5】

    実験内容の図

    ・交換神経を人工的に活性化させて、ノルアドレナリンを放出させた状態で、ストレスを与えなかった
    →白髪が誘発された

    ストレスによる白髪のメカニズム

    マウスの実験で様々な条件検討した結果、ストレスによる白髪のメカニズムについては、下記の通りの結果となりました。

    白髪のメカニズム

    【ストレスによる白髪のメカニズム】
    ①ストレスで交換神経が活性化される
    ②ノルアドレナリンが放出される
    ③メラノサイト幹細胞が枯渇
    ④結果、白髪になる

    今回のテータの「一夜にして白髪になるのは本当か」についてですが、
    今回のマウスの実験では、一晩ではすべての毛が白髪になることはなかったため、一晩で白髪になることに関しては証明できないところです。
    西川の美容師時代のお客様で、毎月美容院に通われている方で急に毛先までの白髪が増える人がいらっしゃいました。
    一晩で急に白髪になるということは考えづらいが、急速に白髪が進んでしまうことはあると考えられます。

    40歳~60歳までの女性の髪の毛一番の悩みは白髪と答える方が多くいらっしゃいます。
    今後、白髪が改善できる薬の開発が進めばと考えております。
    今回の実験で白髪のメカニズムが解明されたことによって、白髪の治療方法の開発の糸口に繋がればいいと思っています。

    また、加齢による白髪がストレスによる白髪と同じメカニズムで発生するかはまだ分かっていない状態です。
    白髪のお悩みに関しては、加齢による白髪が一番の悩みの部分かと・・・
    加齢による白髪の研究が進んで、詳しいメカニズムが解明されたらいいと思っております。

    ストレスによる白髪は治せる?

    ストレスによる白髪については、ノルアドレナリンと交感神経の活性化が関与していることが分かったので、
    その部分を細工すれば白髪が治せる可能性があると考えております。
    ストレスがかからないように生活することが一番いいと思いますが、なかなか難しいかと思います。

    ストレスによる白髪のメカニズムをわかりやすくまとめました。

    白髪のメカニズム

    ①強いストレスや高濃度のノルアドレナリンにメラノサイト幹細胞がさらされると、幹細胞の分化や増殖が著しく増加します。
    ②メラノサイト幹細胞がバルジ領域から大量に移動し、バルジ領域内のメラノサイト幹細胞がなくなってしまうメカニズムが明らかとなった。
    メラノサイト幹細胞がなくなってしまうと、色素の元になるものがなくなり、白髪になってしまいます。
    ※年齢に伴う白髪と同じメカニズムかわからないため、今後の研究に期待したいと思います。

    まとめ

    ・白髪はストレスと加齢によって引き起こされる
    ストレスによる白髪は交感神経の活性化→ノルアドレナリンの放出→バジル領域のメラノサイト幹細胞の枯
     という流れで引き起こされることが最新の研究で判明した

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    記事監修者

    勇 亜衣子
    一般社団法人Next Beauty Labo 代表理事
    Dr.TOUHI CLINIC 総括院長

    勇 亜衣子

    いさみ あいこ
    【経歴】

    東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
    脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院

    Dr.TOUHI YouTubeチャンネル

    わたしたちはYoutubeを通して、医学的エビデンスに基づいた髪・頭皮に対する正しい情報を発進しています。
    頭皮のベテラン経験則を持つ元美容師と、東大卒の医師が皆さんの髪の悩みを解決します。