フケでお悩みの方へ朗報です。あなたのフケ、治ります。
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フケでお悩みの方へ朗報です。あなたのフケ、治ります。 |Dr. TOUHI
今回は、「フケの原因と対策」について解説します。
<フケの基礎知識>
フケ症は医学的な専門用語では『頭部粃糠疹(とうぶひこうしん)』と呼ばれています。この頭部粃糠疹・フケ症は全世界の人口の約50%が罹患していると言われています。
フケの主な原因は『脂漏性皮膚炎』です。脂漏性皮膚炎は頭皮だけとは限りませんが、日本人の約40%が脂漏性皮膚炎を起こしやすい体質を持っていると言われています。このように数字で表すと、実際フケを発症する人はかなり多いことが分かります。もしかすると、気が付いていないだけで、フケを発症している人がいるかもしれませんので、今回の解説を通して対策をしていただければと思います。
<フケが出る仕組み>
フケはひと言で言うと「頭皮の角質細胞のかたまり」です。
頭皮も体も皮膚の構造は、表面から『表皮』『真皮』『皮下組織』と重なっています。皮膚では新陳代謝・ターンオーバーが行われており、正常な皮膚の場合、14日間かけて表皮の1番下の基底層から1番上の角層へと皮膚細胞が移動していきます。そして、角層に移動した後は、さらに14日間、皮膚細胞が角層に留まって老化していくのです。その後、老化した角質細胞がフケとして剥がれ落ちていきます。この正常なサイクルでできるフケは目に見えないくらい小さくて分かりません。通常はシャンプーなどの洗髪で自然に洗い流されていきます。しかし、フケ症になるとターンオーバーのサイクルが乱れてしまったり、炎症を起こしてしまったりして、剥がれ落ちる角質が多くなり目に見える大きな塊となってしまうのです。これを所謂フケと呼んでいます。
<フケが出やすい人の特徴>
フケが出やすい人の特徴は何でしょうか?
まず、フケには『乾性フケ』と『脂性フケ』の2種類があり、それぞれ『頭皮が乾燥している人』と『頭皮が脂っぽい人』で見られやすいです。
トリコスコピーという皮膚を拡大して見ることができる機械で頭皮を拡大してみると、乾性フケの場合、白っぽい細かいフケが見られます。黒っぽい服だと特に目立ちますが、細かいフケが肩に落ちてしまっている人がいますよね。一方で、脂性フケの場合、乾性フケに比べて黄色っぽく大きめのフケになっているのが特徴です。ベタっとしていて頭皮を触ると爪にこびりついてしまうようなタイプのフケになります。
乾性フケに関しては、単に頭皮の乾燥が原因になる場合もあるのですが、乾性フケ・脂性フケどちらも『脂漏性皮膚炎』という病気が原因の大半と言われています。
脂漏性皮膚炎は、頭皮だけではなく、顔・胸・股間・頭皮など皮脂腺が多い場所で慢性的に炎症を繰り返す病気です。
<脂漏性皮膚炎を引き起こす原因>
脂漏性皮膚炎を引き起こすのはカビの1種であるマラセチアという真菌、マラセチア菌です。頭皮から採取してきたフケを顕微鏡で観察すると、黒いブツブツが見えます。この黒いブツブツがマラセチア菌です。自分の頭皮にカビの菌がいると思うと少し気持ち悪い話ではありますが、実は健康な頭皮でも常在菌がたくさん棲みついているのです。通常の場合、常在菌の中には育毛に重要なビオチンなどのビタミンの合成を担っている菌が存在します。しかし、フケが多い頭皮の場合には、ビタミンの合成を担う常在菌は少なく、マラセチア菌が多くみられます。このマラセチア菌は脂質を好むため、皮脂が多い場所で繁殖し、マラセチア菌が繁殖することで炎症が起こり、脂漏性皮膚炎の発症を引き起こします。そして、頭皮の炎症が起こると角質のバリア機能が失われてターンオーバーのサイクルが乱れ、フケが発生するのです。
脂漏性皮膚炎が軽傷の場合は乾性フケ、重症の場合は脂性フケと炎症によるかゆみも出てきます。さらに、少し嫌な話になりますが、色々な菌に感染し繁殖してしまうと、頭皮の臭いや薄毛の原因にもなってしまいます。
<様々なフケの原因>
マラセチア菌以外にも様々な要素が複合的に関わっていて、例えば睡眠不足・過労・ストレスなどの生活習慣の乱れや季節の変わり目などに、特に症状が酷くなることがあります。それ以外には、シャンプー・トリートメントが肌質に合わない場合にも脂漏性皮膚炎の症状が出やすくなってきます。また、男性ホルモンであるアンドロゲンの関連も示唆されています。アンドロゲンは皮脂の分泌を活性化させると考えられています。男性の薄毛の病気、AGAも同じくアンドロゲンの作用が原因となりますが、AGAの人には脂漏性皮膚炎が多いのはそのためかもしれません。
<フケの治療方法>
マラセチア菌が原因のため、『ケトコナゾール』という薬がフケに効果があります。水虫薬としても使われる抗真菌薬です。ちなみに、薄毛にも効果があると言われています。ケトコナゾールには塗り薬やシャンプーがありますが、どちらも医薬品に分類されているため、医師の処方が必要です。他には、コールタールを含むケア用品、光線療法、免疫抑制剤など色々と試されてはいますが、現状では効果が証明されていない治療方法となります。医薬品以外では、皮脂の汚れがマラセチア菌の増殖の温床に繋がるため、シャンプーで汚れや常在菌を洗い流すことが重要です。また、脂漏性皮膚炎でフケがある人は角質のバリア機能が弱まり水分保持機能が低下しているため、頭皮の保湿も重要となります。
<フケと頭皮の水分量の関係>
フケがある頭皮54症例を乾性のフケと脂性のフケに分け、フケのない健康な頭皮30症例と比較した研究結果があります。まず、頭皮の皮脂量については、乾性フケの頭皮は健康な頭皮よりも皮脂量が低く、脂性フケの頭皮は健康な人よりも皮脂量が多いという結果が出ました。これは納得できる結果かと思います。次に、頭皮の水分量については、乾性フケの頭皮は当然健康な頭皮よりも水分量が低いのは分かりますが、脂性フケの頭皮も健康な頭皮よりも水分量が少なくなっているという結果が出たのです。つまり、乾性フケ・脂性フケどちらも水分量が低下しているため、フケを改善するためには頭皮の保湿が重要と言えます。
【まとめ】
フケとは、角層のターンオーバーの乱れによる角質細胞のかたまりです。
マラセチア菌が皮脂腺で繁殖するとフケの原因になります。
乾性フケ・脂性フケの対策としては、頭皮を清潔に保ちながら保湿していくことが重要です。
記事監修者
Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
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