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「最近抜け毛が増えてきた気がする」
そんなご相談を秋になると特に多くいただきます。
今回は、秋に抜け毛が増える理由と、今からできるケア方法や効果的な対策について解説させていただきます。
秋に抜け毛が増える理由
1. 夏の紫外線ダメージが引き起こした頭皮老化
頭皮が日焼けしダメージが蓄積・炎症を起こすと、肌と同様に老化が進みやすくなり、夏に受けた紫外線ダメージが秋になって「抜け毛」として現れます。
毛髪を育てる「畑」である頭皮環境が悪化すると髪が育ちにくく、固着しにくくなって抜け落ちてしまうからです。
特に、襟足部分と頭頂部を比べると、頭頂部の方が紫外線を直接浴びやすく、肌の色に変化があるほど紫外線ダメージを受けている証拠です。
2. 季節の変わり目によるホルモンバランスの乱れ
患者様の中にも、秋に調子を崩される方は多くいらっしゃいます。
実際に治療中の方でも一時的に抜け毛が増えることがあり、これは体が夏の疲れを感じている証拠ともいえるでしょう。
自律神経の調整機能が季節の変わり目に不安定になり、それがホルモン分泌にも直接影響を与えているためです。
健康な方にも毎年軽度に起こりますが、特に女性は年齢を重ね更年期が近づくにつれ、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が変化しやすく、抜け毛の症状を実感しやすくなります。
3. 動物的な毛の生え変わり機能の名残
人間にも動物と同様、冬に向けて毛髪の性質を変化させる生理的プログラムが、現代人にも受け継がれています。
犬の毛が夏と冬で全く違うように、白人の方でも夏は金髪だったのに冬になると色が濃くなることがあるなど、季節による換毛期機能が残存しています。
秋に抜け毛が増えるのは、秋から冬にかけ髪が「冬仕様」へと切り替わる時期と考え、病気ではなく自然なサイクルの一部であると理解していただければ、ストレスも軽減されます。
抜け毛と一言で言っても原因は様々で、その多くは一時的なホルモン変化や季節的な影響による一時的なものであることがほとんどなので、過度に心配する必要はありません。
「今は抜ける時期なんだ」と認識し、自然に収まるまで様子をみましょう。
■専門医への相談が必要なケース
1〜2ヶ月程度で自然に収まるのが正常なパターンですが、1日100本以上の抜け毛が2ヶ月以上長期間続く場合や、「なんだかいつもと違う」「明らかに地肌が目立ってきた」といった異変を感じた場合は、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)、季節的要因を超えた疾患や病的な脱毛症が隠れている可能性がありますので、早めに毛髪専門クリニックへの相談をおすすめします。
▼クリニックの症例をご紹介しています
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夏の紫外線対策とケア方法
昔と比べて男女問わず20〜30代の若い世代からも薄毛相談が急増おり、予防的ケアの重要性を実感しています。
ストレス社会、食生活の変化、環境汚染など、現代特有のリスク要因が増加しているからだと推測されます。
外出時は日焼け止めを塗る、帽子被るなど(ただし帽子をかぶっていても日焼けすることもあるので注意)紫外線をなるべく浴びないよう予防することも大切ですが、浴びてしまった後のケアも重要です。
● 頭皮の紫外線ケアと保湿
夏に受けた紫外線ダメージを軽減させるには頭皮の保湿がとても重要です。
頭皮もお顔と繋がる「お肌の一部」ですので、乾燥すればバリア機能が低下し、炎症や老化につながります。
保湿効果のある頭皮用ローションや美容液などを使用し、スキンケアと同じ感覚で頭皮を労わってあげてください。
1年を通して継続的な保湿を心がけましょう。
▼Dr.TOUHIのヘアケアシリーズ
● 正しいシャンプー方法の実践
シャンプーは、「洗浄力が強すぎるもの」は避け、必要な皮脂を残せるやさしいタイプを選ぶようにしましょう。
必要な皮脂まで除去してしまうと、頭皮バリア機能が低下し、さらなるダメージを招く原因となります。
また、洗髪時のお湯の温度もポイントです。38〜40℃程度のぬるま湯で洗っていただくと、頭皮への刺激を抑えられます。
● 頭皮マッサージで血行促進
頭皮のダメージを回復させるためには、毛根にしっかりと栄養を届けることも大切です。
そのためにも、血流を促す頭皮マッサージを日々のケアに取り入れてみましょう。
毎日のスキンケア、シャンプーのついでに優しくマッサージをするだけでも、頭皮環境の改善に役立ちます。
▼頭皮マッサージのメリット・役割について解説しています
冬の乾燥対策とケア方法
頭皮トラブルの原因は乾燥からくるものがほとんどです。
秋の次に控えているのは、乾燥がさらに進む冬です。
■冬に向けた乾燥対策
• 加湿器を使う(室内の温度や湿度管理・最適化)
冬の低湿度環境では頭皮の水分量が急激に減少し、毛根への栄養供給が阻害されます。
冷暖房による乾燥や、空気の乾きは、頭皮や髪に負担をかけ、頭皮環境を悪化させます。
髪も頭皮も乾燥するとダメージが蓄積しやすくなりますので、保湿ケアは1年を通じて必要不可欠です。
保湿効果のある頭皮用ローションや美容液、ヘアオイルを使用し、潤いを保ちましょう。
加湿器を併用し、室内湿度を50〜60%に保つことで、頭皮だけでなく全身の乾燥対策になりますのでおすすめです。
•ドライヤーは“8割乾かし”が基本(完全乾燥は避ける)
完全に乾かしすぎないことが乾燥予防の鍵です。
過度な乾燥は髪と頭皮から必要な水分まで奪い、ダメージを蓄積させるからです。
タオルドライ後は頭皮美容液で保湿ケアし、
8割程度まで乾かし、残りは余熱で自然乾燥
まとめ
秋の抜け毛は多くの方が経験する適切な知識と対策があれば不安になる必要はありません。
自然な生理現象である場合が多いため、焦らずに様子を見ることが基本です。
しかし、抜け毛の量が明らかに増えていたり、1日100本以上の抜け毛が2ヶ月以上継続するなど、いつまでも回復しない場合には、体の内側の問題やホルモンの影響、頭皮環境の悪化など、他の要因が関係している可能性もありますので、専門医への相談をお勧めします。
■今すぐ始められること
・頭皮の保湿ケア
・正しいシャンプー・ドライヤー法の実践
・室内湿度の管理
・毎日の頭皮マッサージ
抜け毛は早期に治療や対策をするほど効果的です。
秋の抜け毛が気になる方は、一人で悩まずお気軽に頭皮診断にお越しください。
ご自身の髪と頭皮の健康のために、まずは今日からできることから始めてみましょう。
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
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わたしたちはYoutubeを通して、医学的エビデンスに基づいた髪・頭皮に対する正しい情報を発進しています。
頭皮のベテラン経験則を持つ元美容師と、東大卒の医師が皆さんの髪の悩みを解決します。