
目次
ミノキシジルは唯一の発毛作用がある治療薬と認められており、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として有名です。
AGAは遺伝性の完治しない病気であることから、長期的な服用を検討されている方も多いと思いますが、より安全に治療を進めるためには、お薬の特性をより深く理解していただくことが重要です。
そこで今回は、ミノキシジルを内服する際の副作用・リスクなど、注意すべき3つの点をご紹介します。
ミノキシジルの副作用1:多毛症
もともと重症の高血圧症治療薬として開発される過程で、偶然にも副作用として患者さんに多毛症が見られるケースがあり、それをもとに薄毛治療へ応用されたという経緯があり、これが副作用に多毛症がみられる理由です。
ミノキシジルは髪の毛に限らず、全身の毛根に作用するお薬なので、体毛も濃くなると言われており、特に女性はこれを治療の懸念材料とされている方も多いのではないでしょうか。
塗り薬にも飲み薬にも言えることとして、顔周りの毛が濃くなるという事例が多いようです。
■塗り薬の多毛症について
頭皮に局所的に使用するため、多毛症が発生する頻度としては、2~3%と比較的低い値です。
■飲み薬の多毛症について
内服する量により多少差がありますが、全体的には2割前後の方に子の多毛症が現れると言われており、報告によっては9割以上で多毛症が見られたという事例もあります。
ただ、副作用の程度としては軽い場合が多く、この多毛症を原因としてミノキシジルの内服治療を中断せざるを得ないという例はほぼありません。
ミノキシジルの副作用:心臓血管系の症状
冒頭でもお話しした通り、ミノキシジルはもともと重度の高血圧治療薬として開発されたお薬です。
そのため、心臓血管系に影響を与える可能性が懸念されており、これに関する副作用への懸念が国内でミノキシジルの内服薬が承認されない一番の原因になっています。
しかし、AGAやFAGAに処方されるミノキシジルの用量は2.5mgと5mgで、高血圧の治療として処方されるミノキシジルの用量は、10mgから40mgとかなり差があることや、現在までにAGAの治療として行われている臨床試験というのが数十人程度の小規模のものであることから、安全性を保証するにはまだまだエビデンスが少なすぎるという現状があります。
心臓血管系の具体的に起こりうる副作用としては、立ち上がった時に血圧が下がる起立性低血圧や、動悸・むくみ・めまいです。
こういった副作用はいずれも使用した方の10%以下という報告がほとんどなので、先ほどお話した多毛症より頻度が低いようです。
多毛症と同様に副作用も程度がとても軽いので、副作用が出てしまったからといって治療を中止せざるを得ないという例もほとんどありませんし、用量を減量することで改善することがほとんどです。
ただ一つ注意しておきたいのが、これまで報告されている臨床試験としてほうこくされているミノキシジルの容量は5mgが最大の容量なので、高血圧ではない健康な成人に対して10mgのミノキシジルを内服した場合の副作用のリスクについてはエビデンスがない状態です。
5mgより多い用量で内服されている方は、副作用に注意が必要です。
ミノキシジルの副作用:初期脱毛
副作用とは少し違うものになりますが、初期脱毛についてもお話ししておきたいと思います。
ミノキシジルを使用すると、初期脱毛と呼ばれる現象が起こることがあり、これはミノキシジルを使い始めて約10日後に、抜け毛が一気に増える現象のことです。
内服薬で起きることが多いですが、外用薬でも起こる可能性があります。
ミノキシジルは毛根に作用し、AGAやFAGAにより乱れてしまったヘアサイクルを正常に戻す働きがあり、もともと抜け落ちるはずだった休止期の毛が一気に抜け落ちてしまうため、初期脱毛が起こります。
ミノキシジルの初期脱毛は、治療効果が現れる前兆です。
この脱毛は一般的に1ヶ月程度で落ち着き、その後は発毛効果を実感できる可能性が高まります。
弱い毛が抜け落ち強い毛に生まれ変わる準備期間なので、初期脱毛を予防する方法はなく、程度には個人差があります。
不安に感じた場合は服用を辞めるなど自分で判断せず、医師にご相談ください。
初期脱毛は一時的な現象です。 ミノキシジルが効果を発揮している証拠と捉え、根気強く治療を続けましょう。
▼ミノキシジルについてもっと詳しくお知りになりたい方はこちらもご覧ください
ミノキシジルのメリットとデメリット
まとめ
ミノキシジルは、唯一の発毛作用が認められているAGA治療薬です。
抜け毛を抑制する作用があるフィナステリド・デュタステリドと併用するとAGAの進行を遅らせつつ発毛効果を得られます。
■ミノキシジルで注意すべき副作用
・もともと重症の高血圧症治療薬として開発されたため、血管拡張作用があり、心臓血管系への副作用が出る可能性がある。
・発毛効果は全身の毛根に作用するため、多毛症を引き起こす場合がある。
いずれも副作用程度は軽い場合が多く、治療を続けられないケースは非常に稀です。
・初期脱毛は一時的な現象ですので、抜け毛が増えても慌てて治療を中断せず、医師に相談し、ミノキシジルが効果を発揮している証拠と捉え、根気強く治療を続けましょう。
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
YouTubeチャンネル
わたしたちはYoutubeを通して、医学的エビデンスに基づいた髪・頭皮に対する正しい情報を発進しています。
頭皮のベテラン経験則を持つ元美容師と、東大卒の医師が皆さんの髪の悩みを解決します。