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「白髪=老化のサイン」とは限りません。
白髪には様々な原因があり、加齢の他にも現代人が抱えるストレス、生活習慣、ヘアケアの習慣など、一人ひとりの“日常”が白髪の増減に関わってきます。
白髪の原因
白髪のメカニズムを知ることが、白髪対策の第一歩です。
白髪は「もう染めるしかない」と諦めて受け入れるのではなく、「白髪は改善できるもの」と捉え、白髪治療を検討するきっかけになっていただければ幸いです。
白髪の2大原因と言われているのは、「ストレス」と「加齢」です。
◆ストレス
ストレスにより白髪が引き起こされるのかについて、はっきりと分かっていませんでしたが、近年このメカニズムが解明され、アドレナリンや交感神経が深く関係していることがわかってきました。
◆加齢
一般的には老化現象として知られる白髪の根本原因は、毛根にある色素細胞(メラノサイト)の衰えです。
このメラノサイトの衰えには、次のような要因が関係しています。
• 加齢
• 頭皮や髪への負荷(白髪染め・カラー・ブリーチ、縮毛矯正など)
• ストレス(紫外線・喫煙・睡眠不足など)
• 頭皮の老化・血流低下
• 遺伝的要素
メラノサイトとは
髪根(毛根)の毛包内にある色素細胞で、髪の色を決める役割をしていますが、髪が育つ際にこの「メラノサイト」が毛母細胞に受け渡され髪に色がつきます。
加齢はもちろん、栄養不足、ストレス、生活習慣(睡眠・喫煙・紫外線など)の影響で、メラノサイトが元気を失うなど機能低下や消失することで、数が減りメラニン色素をつくり出せなくなることで、髪が黒く染まらず、白髪になってしまうのです。
病気や遺伝的な体質を引き次いでしまったことから白髪になりやすい方もおられます。
また、若くして白髪に悩まれているという方の相談は年々増えており、その原因はヘアカラーやブリーチ、縮毛矯正を繰り返すなど、頭皮や髪に負荷を掛け過ぎたことから、頭皮の老化を早めてしまったというケースもよく見受けられます。
「一度白髪になったら戻らない」と考えられていましたが、再生医療の進歩によりメラノサイトの回復や再生の可能性が示され、白髪を“治す”視点が現実味を帯びています。
だからこそ白髪は染めるのではなく、「メラニンを再び作る」方向にアプローチすることが、本質的な解決になるのです。
過去コラム:「白髪は戻る!? メラニン細胞を復活させる最新ケアとは?」※メラニン細胞の再活性化について詳しく解説しています。
縮毛矯正・カラーリングと白髪の関係
縮毛矯正やヘアカラー、日常的なヘアセットは、すぐに見た目も変わり、気分も上がりますが、その一方で知らず知らずのうちに白髪を促進してしまっているケースもあります。
◆ヘアアイロンの熱
髪は熱を加えてしまうと乾燥し、その水分を補うために頭皮からも水分が奪われてしまい、頭皮が砂漠のような状態になってしまうことがわかっています。
また、髪の主成分であるたんぱく質は、強い熱が加わることで変質します。
例えば、同じタンパク質が主成分である生卵に一度でも熱が加わると硬く変質し、ゆで卵が生卵に戻らないように、一度熱で変質した髪も元には戻りません。
◆縮毛矯正
縮毛矯正で使われる薬剤は、矯正するために強い成分を使うことがあります。
これが頭皮のバリアを壊す要因になり、炎症や乾燥を引き起こすことも。
◆ブリーチや頻繁な白髪染め・カラーリング
白髪を隠すためにブリーチや白髪染めなどを頻繁に行う方は多く、染める間隔が短いと、その都度頭皮・毛根にストレスが加わり、頭皮へのダメージが回復しないうちに次の染めをすることで、累積的な悪影響が出やすくなります。
こういった行為が白髪を直接“作る”わけではありませんが、高温や化学薬品による頭皮への刺激が蓄積され、色素細胞の働きを鈍らせる要因になる可能性があります。
頭皮環境を悪化させることが、結果的に白髪が増えやすくなる土壌を作ることになるということです。
染める際に根元からの塗布を避ける、染める直前後の頭皮の保湿を丁寧にするなど、ケア次第で染めによる負担を大きく減らすことができます。
▼白髪染めが頭皮に与える影響について詳しく説明しています
https://youtu.be/-qQCWCfo9RE?si=qnUdis_4k2o8iqLb
白髪で悩む60代女性の症例紹介
白髪は一度なってしまうと、もう治らないと思っている方は本当に多い反面、当クリニックの治療症例には、治療で白髪が改善したというものも多くあります。
この60代女性は、髪の約半分が白髪になり、長年に白髪染めを繰り返していましたが、頭皮のダメージや染め続けるストレスから「根本的に改善できないか」と当院に相談に来られました。
◆治療内容
・月1回 メディカルヘッドスパ
・月1回 頭皮へエクソソームの注射
◆治療経過
この方は、3~4か月と割と早い段階から治療の効果を感じ始め、そこからさらに数か月後には、ご家族の目からも白髪が明らかに減ったとわかるくらい白髪の割合が減っていきました。
カラーリングで明るい茶色になっていた部分が、黒色へと生え変わると同時に、髪自体にも艶を感じます。
治療前はチリチリとした髪質でしたが、白髪だけでなく、毎日の頭皮ケアと月1回のクリニックでの治療で髪質の改善もみられ、治療経過にとても満足していただいております。
もちろんすべての人に同じ結果が出るわけではありませんが、「年齢を理由にあきらめない」という姿勢が何より大切です。
年齢ごとの白髪対策
白髪と一言で言っても、人によって様々なタイプがあります。
・真綿のように真っ白な白髪
・黄味がかった白、薄茶や金髪寄りの白髪
色素交じりの白髪であればあるほど、メラニン細胞が生きており、早期治療で髪色を取り戻せる可能性が高まります。
再生医療で弱っている細胞を治療で若返らせることができますので、早めのご相談をお勧めいたします。
実際に同じ白髪の悩みを持つ方がどのようなプロセスを踏んで変化を感じたかを知ることで、自分のケアのイメージがしやすくなりますので、気になる方は当クリニックの症例を是非ご覧ください。
症例はこちら
最先端のiPS細胞を利用した白髪治療
再生医療の最先端である、iPS細胞を使用した治療が、AGAや白髪治療の分野においても期待されています。
まだまだ発展途上の段階で、これから研究が進んでいくため、エビデンスが十分ある状態ではありませんが、エクソソームやPRP療法など既存の治療でも白髪治療に効果があることから、細胞に変化できる性質を持つiPS細胞治療においても、理論的には白髪になってしまった毛根のメラノサイトのような色素細胞を “再生”させることができ、十分に効果が表れると考えられています。
将来的には、「白髪になっても黒髪へ戻る」治療が一般的な選択肢になる可能性があり、薄毛や髪質改善の未来にもつながるかもしれません。
過去コラム:「世界初のiPS細胞治療!髪の再生はここまで進化した!」
まとめ
「白髪は染めるしかない」「白髪は隠すしかない」という考えが、医学の進歩とともに少しずつ変わり始めています。
再生医療を用いた治療はまだ発展途上ですが、それでも確実に未来は明るくなっています。
今できることとしては、色素細胞が元気でいられる頭皮環境を整えることが何よりも大切です。
白髪は、ただの「老化のサイン」ではなく、体からの小さなメッセージです。
それに耳を傾け、適切にケアをしていくことで、「また黒髪を取り戻す」未来も決して夢ではありません。
白髪や髪の悩みに対して医療的な視点で寄り沿い、髪のお悩みに希望を届けていけたらと思います。
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
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わたしたちはYoutubeを通して、医学的エビデンスに基づいた髪・頭皮に対する正しい情報を発進しています。
頭皮のベテラン経験則を持つ元美容師と、東大卒の医師が皆さんの髪の悩みを解決します。