今回は産後の抜け毛にお悩みの40代女性患者様の症例をご紹介します。

産後抜け毛の患者様の背景

患者様：41歳女性
症状：約1年半前に双子を出産・産後2か月～抜け毛が目立つように
嗜好品：喫煙・飲酒ともになし
改善要望：髪全体のボリュームが減ってしまったので元に戻したい

約1年半前に双子をご出産された41歳の女性で、5人のお子様を育てるママさんです。
来院経緯は、産後2ヶ月くらいから生え際を中心に抜け毛が目立ちはじめ、髪全体のボリュームが減ってしまったということで当クリニックへ来院されました。

産後抜け毛について

産後の抜け毛はよくある症状ですが、要因を簡単に申し上げますと、主に周産期のホルモンバランスの変化が影響し、抜け気が増えてしまう現象で急性旧式脱毛症と呼ばれる病気の1つで基本的には半年以内で収まる一時的な症状と言われております。
しかし、症例によっては産後の抜け毛が長引きそのままFAGA（女性男性型脱毛症）に移行してしまうケースもあるため、早く治療したい方、なかなか元の毛量に戻らない場合には発毛効果のあるミノキシジルを処方し治療を行う場合もあります。

産後の抜け毛に関してはこちらの動画でも詳しく解説しています

 産後抜け毛の患者様の治療前の頭皮の状態

こちらが初診時のお写真です。
ご本人も生え際が気になっているとおっしゃっていましたが、確かに写真で見ても左右・真ん中・全体的に生え際のラインに沿って密度が薄くなっているように見られます。

次にマイクロスコープのお写真です。

・毛が1本1本細くなり細毛化がみられます。
・もともとお肌が弱いため、特に頭皮の状態が悪く、カサカサで荒れて赤く炎症している

産後抜け毛の患者様の施術内容

【施術内容】
・メソセラピーのみを月1回行う（定期的に頭皮へ注射にて投与する）
※注射の中身（ミノキシジル・PRP）

お悩みや状態を確認した後、治療をどの様に進めていくか施術内容を決めていきます。
ミノキシジルの内服薬に関しては、全身への副作用が気になるという希望から、内服薬の処方は致しませんでした。

PRPとは

Platelet-Rich Plasma(プレートレットリッチプラズマ)の略で、最近では美容業界でも注目されている最先端の再生医療の技術です。
簡単に言うと自分の血液由来の血小板成分で、治療に効果のある成分のみを抽出・濃縮し注射にて投与する非常に安全性の高い治療法です。

PRPの治療効果に関してはこちらでも詳しく解説しています

産後抜け毛の患者様治療の経過

こちらは治療開始から3ヶ月経った時点での治療経過のお写真です。
生え際については、細毛化が進み産毛のような弱々しい短毛で全体的に密度が薄くなっていましたが、毛髪1本1本がしっかり太く、濃く変化しており治療効果が出ているのがわかります。

ご本人としてもボリュームの増加はもちろん、髪の毛に艶も出てサラサラになったと変化を感じられたようで、お写真で見ても髪のボリュームや艶に違いがあるのが分かります。

髪の毛より頭皮の変化が分かりやすく、治療開始から3ヶ月でこの変化には大変びっくり致しました。
髪の太さにも変化はありましたが、なにより頭皮の状態がかなり良くなって乾燥と赤みがほとんど改善され、むしろプルプルのコラーゲンみたいな皮膚に変化しています。
頭皮の色味にも変化があり、青白く健康的な頭皮に生まれ変わった印象です。
患者さんはこの嬉しい変化に、お顔の肌改善のため美容皮膚領域でもPRPの施術を検討されているようです。

PRPを注射した症例の論文

当クリニックでの症例を踏まえ、頭皮にPRPを投与した1つの論文を紹介させていただきたいと思います。

このお写真・データは治療していない頭皮とPRPを投与した頭皮の一部を採取し、顕微鏡で覗き比べたものです。
投与後は濃いピンクの表皮部分が分厚くふかふかになり、毛包の数が増加しているという結果が得られました。

頭皮ケアの重要性

西川の美容師時代のお客様で、産後2～3ヶ月の方が来店された際に、シャンプーをしたところ、ごっそり毛髪が抜ける方がおりました。
この脱毛は出産によるホルモンバランスの変化でおこる1つの病気みたいなものであったのですが、産後であるのに抜けなかった方もおり、頭皮の状態によって産後の毛髪に違いがあったのではないかと感じています。

当クリニックの考え方としては、頭皮と髪の毛の関係は植物と土の関係と似ており、土がふかふかに耕された状態だと良い植物が生えてくるのと同じで頭皮も表皮部分が分厚くふかふかに耕された状態になると良い髪の毛が生えてくると考えております。
AGA治療や髪質を改善するにはやはり皮膚の中から改善しないと生えてくる髪の毛は変わらないと身をもって実感しています。

今後も良い症例がありましたらご紹介させていただきたいと思います。

前回は男性患者様の症例をご紹介いたしました！