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夏の強い日差しや紫外線が落ち着き、季節の変わり目である秋(9月、10月、11月頃)は、一年の中でも特に「抜け毛が増えた」と感じる方が急増し、クリニックでもご相談が非常に増える時期です。
「朝、枕元に残る髪の量が多い気がする…」
「シャンプー中の指先に絡む毛が明らかに増えた…」
ほんの小さな変化であっても、不安が胸をよぎることがありますよね。
この時期の抜け毛は、単なる季節的な変化による正常な生理現象の可能性もありますが、中にはAGA(男性型脱毛症)などの初期症状が隠れている場合もあります。
大切なのは、ご自身の抜け毛が「正常な範囲内」なのか、「専門的なケアが必要な異常な状態」なのかを正しく見極めることです。
そこで今回は、多くの方が抱えるこのお悩みに、毛髪専門医の立場から丁寧にお答えするとともに、普段の生活の中でできるセルフチェック方法をご紹介します。
抜け毛を意識するタイミング
「抜け毛が増えたかも・・・」という不安は、日常生活のふとした瞬間に感じ始めます。
では、具体的にどんな時に自分の抜け毛を意識するようになるのでしょうか。
■日常生活
多くの方が抜け毛を「これは異常かもしれない」と意識するのは、日常生活の定常的なシーンです。
・シャンプーやドライヤー中
指に絡みつく髪の量が以前より増えた
洗面台や床に落ちる毛の量が明らかに増えたと感じた。
お風呂の排水溝がすぐに詰まるようになった。
・朝の習慣
朝起きたとき、枕元に以前より多くの抜け毛が落ちている
部屋の床に落ちる抜け毛が気になり、掃除が追いつかないと感じたとき
・髪質の変化
「朝のセットが以前と違う」「髪全体が細く柔らかくなったと感じる」といった触れた時に感じる髪質の変化も重要なサインです。
単に量ではなく、髪の毛一本一本が細くなることで、全体のボリュームが減ったように感じることもあります。
■体調不良
抜け毛が増えるきっかけとして、コロナ感染症のような大きな体調不良が引き金になることもあります。
短期間で抜け毛が増えるため、強い不安を感じやすく、気づきやすい傾向にあります。
この場合「休止期脱毛症」という一時的な脱毛の形であることが多いのですが、中には、これを機に潜在的な薄毛の症状(AGAなど)が急に顕在化してしまうケースも報告されています。
本来なら数年後に発症するはずだったものが、体への大きなストレスをきっかけに加速してしまうことがあるのです。
■慢性の変化(ゆっくり進行するタイプ)
抜け毛の増加が年単位で緩やかに進行している場合、ご自身では全く気づかないケースも少なくありません。
自然に抜ける抜け毛の正常な範囲は、1日に80〜100本です。そのため、一気に抜けるケースと違い、ゆっくりな変化は見逃されやすく、正常の範囲で起きている抜け毛は、ご自身では意外と自覚しにくいものです。
実際に薄毛の症状を感じクリニックにいらした方でも「抜け毛はそんなに気になっていない」とおっしゃるケースはよくあります。
特にAGAでは、少しずつ細毛化などの症状が進み、気づいたときにはボリュームが減っているのです。
客観視が大切!セルフチェックのススメ
ご自身では見えにくいつむじや頭頂部などに、いつも間にか変化が起き始めていることもよくあります。
普段気づけない場所の変化を客観的に捉えるために、スマートフォンのカメラで定期的に撮影・記録することは非常に効果的な方法です。
【セルフチェック方法】
1. ご自身の頭頂部やつむじ周りを写真に撮る。
2. 過去の写真と比較して変化をチェックする。
「こんなに薄くなっていたなんて!」と驚かれる方もいますが、その変化を客観視することが早期発見の第一歩になります。
抜け毛の量だけでなく、写真での視覚的な情報や手触りといった髪質変化のサインを見逃さないことが重要です。
日常のいつもの景色の中に“ほんの少しの異変”が見えたときが、治療を考える適切なタイミングです。
季節的な抜け毛とAGAの違い
白髪やくせ毛、円形脱毛症など、色々なお悩みをお持ちの方が日々来院される中で、毛髪専門医として感じることは、やはり秋口は初診でも、通院中の方からも抜け毛のお悩みが目立ちます。
「治療効果が停滞している」「抜け毛が増えている」と感じる方はとても多く、定期的に治療に通っている方であっても、この時期はコンディションが悪いと感じますが、そういったケースの多くは、季節的な抜け毛が一時的に重なってしまっているだけと判断できることが多いです。
では、逆に季節的な抜け毛と、AGAの初期段階かもしれないと疑った方がいい特徴はどこにあるのでしょうか?
■ AGAの抜け毛が持つ決定的な特徴
AGAの初期段階を疑うべき最大の特徴は、抜け落ちた髪の毛の「状態」にあります。
AGAによる抜け毛は、髪の毛が上手に成長しきらないまま抜け落ちてしまうのが特徴です。
そのため、抜け毛の中に細くて短い毛がたくさん混ざっているという方は、少し要注意かもしれません。
■季節的な抜け毛の特徴
季節的な抜け毛は、一時的に本数は増えるが、抜けた毛はしっかりと成長した太く長い毛が多く、AGAの場合は先述のとおり細くて短い毛(成長しきれなかった毛)の抜け毛が多く混ざることから、自然と抜け落ちた髪の毛の毛根の形状を見ると、それがAGAなのか、あるいは正常な髪の毛が抜け落ちただけなのかを判断することは可能です。
しかし、これは医師としてお伝えしておきたい大切なポイントですが、この判断は肉眼では非常に難しく、肉眼では判断できなくても、毛根をものすごく拡大して確認することで違いは明確になります。
正確な判断を求める場合、ご自身の抜け毛に細く短い毛が多いと感じたときは、ご自身だけで判断せず、専門医へ判断を仰ぐことが重要です。
▼AGA治療について詳しくお知りになりたい方はこちらもご覧ください。
AGAの早期発見の重要性
AGAを疑う場合、早期の対応が非常に大切です。
早期治療が重要だからこそ、早め早めに現状を把握し、対策を始めることが、抜け毛のお悩み解消には一番良いと言えるでしょう。
【年齢別AGAの進行スピードと治療効果】
・20代・30代
進行が早いイメージがありますが、その代わりに治療をすると効果も早く、結果が出るのも早い傾向にあります。
・40代・50代
AGAの進行は少し遅くなりますが、治りもまた少し遅くなるという傾向が見られます。
▼早期に治療を開始することで改善を見込めるケースは多くあります。当クリニックの症例をご紹介しています
AGAと遺伝の関係
抜け毛には様々な要因がありますが、なかでも見落とされやすいのが遺伝(家族歴)の影響です。
AGAは遺伝性が強い脱毛症であり、家系と深い関わりがあります。
血の繋がったご家族の中で薄毛の症状が出ている方が実際にいるかどうかを確認してみてください。
特に、最も遺伝を引き継ぎやすい家系として注目すべきは、母方のご家族で、母方の祖父が薄毛だった場合は、75%の確率で薄毛の遺伝子が引き継がれると言われています。
したがって、ご自身の母方の祖父が薄毛かどうかというのを確認していただけると、ご自身がAGA体質かどうかを判断する、一つの大きな基準になるかと思います。
まとめ
秋の抜け毛は、多くの方が毎年ふと不安を抱くタイミングです。
ご自身の抜け毛が一時的なものなのか、AGAの初期症状なのか、判断する良い機会でもあります。
正常なものなのか、病的なものなのかを判断するために、まずは今回ご紹介したセルフチェックをお試しください。
•シャンプーやドライヤー時の抜け毛の量をチェック
•枕元や床に落ちる抜け毛の量をチェック
•スマホで頭皮の写真を撮って客観視する
•血縁者に薄毛の方がいるか確認する
•抜け毛の中に細く短い毛が多いかチェックする
このチェックポイントを知ることで、必要以上に不安にならず、もし専門家の助けが必要なときには迷わず一歩踏み出せるようになっていただけたら嬉しく思います。
細かな変化に早く気づけた方ほど、回復のスピードは早い傾向がありますので、「いつもと違うな」「このまま様子を見ていいのかな」と迷われるタイミングがあれば、無料頭皮診断に是非お越しください。
記事監修者

Dr.TOUHI CLINIC 総括院長
勇 亜衣子
いさみ あいこ東京大学卒業 長岡赤十字病院 初期研修修了
脳神経内科を専門としながら、AGA診療に携わったことをきっかけに頭皮や髪のケアの重要性に気付く。2023年、すべての頭皮や髪の悩みに寄り添うクリニック「Dr.TOUHI CLINIC」「Dr.TOUHI SALON」開院
Dr.TOUHI
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